モデル写真は現像するのが当然?カメラの撮って出し写真はモデルさんに嫌われてますよ…

2020年1月16日写真,画像処理・レタッチ

撮影会などでモデルさんの写真を撮影して、その写真を本人に渡すような時に撮影したJPEG画像を撮影したそのままでネットに掲載することが思いの外嫌われていることに気付きました。

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モデル写真は現像が当然? 撮って出し写真はモデルさんに嫌われてますよ…

あなたはモデル撮影会で撮った写真をどうしていますか?
自分で見てそのまましまいこんでいますか?
それともTwitterやブログに掲載していますか?

モデルさんたちと会話する時に色々気になることを聞きますので、ブログ記事として書いてみます。

モデルさんたちの怨念

自分は撮影会で写真を撮影する時に、ネットに掲載する時に事前にモデルさん本人のチェックが必要か聞いています
また、次回の撮影会などで写真を選別して現像した後の写真は次の撮影会の時にUSBメモリに入れてモデルさんにお渡しすることにしています。

大抵の場合は「すーすーさんは写真きれいにしてくれるから問題ないですよ」という答えが返ってきます。
とてもとてもありがたいです。
しかし、その言葉の後で「ひどい写真をそのままネットに載せる人が結構いるんですよ。そういう時は、リツイートどころかいいねも付けないで、無視したりします」などというような怨念のような言葉を聞くことが、1人や2人ではなくゴロゴロあります。

その後には、「写真がひどいので、なんとかならないのか聞いてみると、『自分は写真の修正などはしない主義なので、撮ったそのまま載せてます』とか言うんですよ。あれ、なんでしょうね。ひどいと思いません?」などという言葉が付いてきたりもします。

撮って出し主義の問題

RAW画像とJPEG画像

カメラが記録するファイル形式にはJPEGが主流として使われています。
さらに、ある程度以上の価格のカメラには、一眼だけではなくコンパクトデジタルカメラなどでもRAW画像も一緒に保存する機能があります。

カメラの画像センサーが受け取った画像データは、カメラがRAW画像としてそのまま記録しますが、RAW画像はデータサイズが大きいので、同じ色や明るさの近い部分をデータとしてまとめて要らない部分は捨ててデータ量を小さくしたJPEGとして保存するようになっています。
数式でいうと、2+2+2+2+2を2×5とまとめているようなイメージです。
ただ、RAW画像の明るさなどを調整してみると、その下には明るすぎや暗すぎで見えなかった細かい模様などの画像が隠れていることがありますが、JPEGデータにする段階でそのような細かい情報は既に捨てられています。
そのため、JPEGデータを修正すると、色や明るさが不自然になる部分が出てきてしまいます。

そのため、撮影後に現像などで補正をする場合にはRAW画像として保存した画像データを使うのが一般的です。

JPEG撮って出し

しかし、世の中には「現像しなければならないような写真は既に失敗写真であって、修正などをするのは良くないことだ」という理屈で、カメラが保存したJPEGデータをそのまま使う「撮って出し」を主義とし、現像などをする人は「加工厨」だと決めつけるような人が結構な数でいます。

それには、一理あって、撮影する時点で、美しく撮れるようにカメラの色や明るさなどのパラメータを手動できっちり設定して、レフ板やフラッシュなど補助光をきっちり使って、誰の目にも美しい写真を撮れれば、そもそも現像などという作業は不要です。

現像は悪いことなの?撮影が下手な証拠?

しかし、そんな理想的な状態で撮影できることは稀で、現像をした方がバランスのいい写真が撮影できることがほとんどです。

そもそもの話として、1枚ずつ設定を変えて撮影している人など、ほぼ全く存在していませんので、カメラのセンサーの状態で1枚ずつ色や明るさは違うように写っています。
たまたまカメラのセンサーが思ったようになった写真の1枚の構図などが写真として使うのにベストな写真とは必ずしもならないのではないでしょうか。

そもそもJPEGはカメラが現像した画像

さらに、カメラは、RAWデータとして保存しない設定になっていても、撮影時には内部のRAWデータを画像エンジンで補正して不自然ではないように加工してJPEGとして保存するような現像処理を内部でしています。
たまたま、JPEGで良さそうな写真が写っていたとしても、カメラの値段が高くてセンサーの精度が良かったり、画像エンジンの性能が良かったに過ぎず、カメラマンの手柄とは一概に言えないのではないでしょうか。
カメラもしょせん機械ですので、カメラの手の及ばない部分は手動で補正していい写真を目指すことは本当に悪いことなのでしょうか

現像とは?

現像とは

写真をフィルムで撮影していた時代には、カメラでフィルムに撮影した写真を化学薬品で固定するという作業が必要でした。
それは、フィルム自体に化学薬品が塗ってあり、それに光が当たると明るい色になるのですが、後から光を当てると、どんどん化学薬品が反応して最後は真っ白になってしまいます。
ですので、撮影済みのフィルムはそれ以上光に反応しないように別な薬品で化学反応を固定する現像という作業が必要なのです。
その作業時に、その時に色や明るさなど細かい調整を行って実際に目で見たような画像にする調整を行っていて、この調整を含めた作業を現像と呼んでいました

現在のデジタルカメラは、光を画像センサーでデジタルデータにして内部のメモリーカードに保存しますが、その写真データの色や明るさなど細かい調整をすることも現像と呼んでいます

現像ソフト

キヤノンでは同社用のカメラに対応した現像ソフトとしてDigital Photo Professional 4を無償公開しています。
同じように、ニコンではCapture NX-D、オリンパスではOLYMPUS Viewer 3、他のメーカーでも基本的に無料で公開しています。



もう1つ、有料ですが、かなりの人が使っているのが、Adobe Creative CloudのLightroomです。
写真加工用に、フォトプランという課金コースがあり、LightroomとPhoshopがセットになっており、月額料金(980円)と年額料金が選べます。
メーカーの違うカメラを何台か持っていても一緒に現像できて、写真も保存できますので、非常に楽です。

実際に現像でできる操作

現像でできることは、

  • ホワイトバランスの調整
  • 明るすぎる部分の調整
  • 暗すぎる部分の調整
  • 全体的な明るさの調整
  • レンズプロファイルによる歪みの補正

などがあります。

ホワイトバランスの調整

カメラではオートホワイトバランス(AWB)という機能があります。
これは、カメラに写っている色を自然な色にしてくれる機能です。
人間の目は、非常に良くできていて、外から来る光が赤っぽかったり青っぽかったりしても脳内で補正してしまいます。
しかし、カメラで撮影した写真をそのまま見ると、その写真を見る場所の環境に来る光の色はまた違うものですので、違和感を感じます。

例えば、夕方に外光がある室内は赤っぽい光が差していますので、全体的に赤っぽい色になっていますが、夜に蛍光灯の色でみた場合は当然ですが赤っぽい写真になっています。

夕方を強調する写真であれば、それはそれで構わないのですが、実際目に見えているイメージとは大きく異なる場合は違和感があります。
ここでカメラはAWB機能で色温度を見たイメージに近い形に変えて自然にします。

明るすぎる部分の調整、暗すぎる部分の調整

カメラはある程度以上の明るさより明るいものは写りませんし、逆にある程度以上暗いものも写りません。
ただ、写真の見た目で真っ白や真っ黒になっている部分も明るさを調整すれば細かいところが写っている場合があります。
ですので、明るすぎる部分は暗く、暗すぎる部分は明るくしてやれば、白く飛んだ部分や黒く潰れた部分の下に隠れたところが見えるようになります。

全体的な明るさの調整

写真全体が明るかったり暗かったりして見える場合は全体の明るさを変更することができます。

レンズプロファイルによる歪みの補正

カメラのレンズは、多数のレンズを組み合わせて、外から入ってきた光をカメラの画像センサーに当てるようにできています。
そのため、レンズの内側と外側で光を通す方向に若干のクセのようなものがあり、微妙に画像が歪んでいます。
代表的なものでは、広角レンズは中央部は正しく写っていますが、外側は同心円状に画像が乱れます

その歪みのパターンを現像ソフトが持っているレンズごとのデータ(レンズプロファイル)を使ってある程度修正することができます。
もちろん、万能ではなく、歪んでしまった画像を反対側に歪ませているので、修正後は厳密には画像の細部(ディテール)が乱れています。

現像による画像の修正

これまでに紹介したように、現像によってカメラが写した画像を実際に見た記憶の画像に近づけることができます。
さらに、使い方によっては、こんな風に写真を見て欲しいという印象を与えるための修正も可能です。

夕日に当たった被写体の画像を青い方向に修正してやれば、日中や朝に撮ったように見せることも可能ですし、薄暗くなった写真をギラギラした光の下で撮ったかのように見せること、また、その逆の操作も可能です。

女性の肌の画像修正

このような現像による画像修正の一パターンとして、女性の肌の画像修正があります。
基本的には、女性の肌を白く見せる修正を行います。

肌の色を白く修正

日本人は黄色人種ですので、肌の色は黄色味が強く出ています。
これをホワイトバランスを修正することにより、白っぽい色に修正することができます。
具体的には、色温度を赤側から青側に少しずつ下げてやると黄色味が抑えられて白っぽく見えます
行き過ぎると本当に青っぽい色になってしまい、顔色が悪くなってしまいますので、上手いこと調整してみて下さい。

また、同じ場所で何枚も撮影した場合、写真ごとに色温度が違うと不自然になります。
ですので、同じ場所で撮った写真の色温度を同じ数値に合わせてやると多数の写真を公開する時も自然になります。

肌全体を明るくする修正

先ほど「明るすぎる部分の調整」として述べましたが、明るくなりすぎていて細かい部分が見えない時に見えるように修正できます。
それを逆にしてやると、明るく修正すると、お肌の凹凸の細かい部分が相当程度見えなくなります
なんということでしょう!

具体的には、

  1. 明るさ(露出)を白さが目立たない程度まで徐々に上げます。
  2. 白レベルを白飛びが無くなるまで下げます。
  3. ハイライトを細かい部分の写りが不自然にならない程度に上下させて調整します。
  4. シャドウを上下させて、不自然に黒色が薄くなったり濃くなったりしないように微調整します。

この操作をすると、画像全体を明るくしても、白飛びさせたり、黒い部分を不自然に白っぽくせずに肌の明るさを明るくすることができます。

まとめ

結局のところ、パパッとした操作で、女性のお肌がすごくきれいに見えるのであれば、余計な反発をわざわざ買わずに現像処理をした方がお互いに気分が良いのではないでしょうか。
もっとも、画像をネットなどで公開しないような場合については、個人の自由にすれば良いとは思います。

皆さんもモデル撮影の際は是非現像処理をしてモデル写真を美しくしてみて下さい。

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