撮影時の光の方向とフラッシュなど補助光によるライティング撮影の方法
撮影といえば、カメラやレンズなどの機材がまず気になりますが、実際に撮影する時は機材よりまず光の当て方の影響の方が大きくなります。
今回は、光の方向と、フラッシュやレフ板などを使った補助光の活用方法について説明します。
いいカメラやレンズが必要なのは極端な状況だけ
室内にしろ室外にしろ光の当て方(ライティング)で写真の見え方が全く違う
順光、逆光、サイド光
逆光
逆光は良くないなどということは聞いたことがありますでしょうか。
逆光というのは、カメラを構えた時に被写体の反対側から、つまりカメラの正面に向かってが入る状況です。
奥から手前に向かって光が入っていますので、カメラで撮影する時は被写体の影の部分を撮影することになります。
また、さらにカメラの正面から光が当たっていますから、被写体の画像と一緒に強い光も入ってきます。
カメラで撮影する時は、カメラのセンサーで画像の明るさを測定して、ちょうどいいところに決めてくれる機能があるのですが、基本的にはカメラは明るい部分に合わせて明るさを決定します。
そうすると、正面の光に合わせて明るさを調整すると、周囲の明るさはちょうど良くなりますが、被写体自身は真っ暗になってしまいます。
そんなわけで、逆光で撮影するのは難しいと言われています。
順光
逆光が良くないのであれば、順光で撮影すればいいのでしょうか。
順光というのは逆に被写体の正面から光を当てた状態で撮影する状況です。
自然光であれば、光はカメラマンの背中から当たっていますし、ライトなどを使っていれば、カメラと被写体の間にライトがあるかもしれません。
上の図で順光によって撮影した画像は、被写体は明るくてはっきりと写っています。
商品の説明などに使うような時は、このように順光でささっと撮影してしまえば問題ありません。
ただ、一方で被写体に影が見えませんので、全体的に均一でのっぺりとした印象を与えることも事実です。
順光では一般的にあまり立体感が無い写真になりがちです。
サイド光
逆光、順光と見てきましたので、横から光を当てるサイド光を当てて写真を撮ってみましょう。
上の図のサイド光の写真でわかるように、右から光を当てると右側が明るく左側が影になっています。
この写真をどう評価したらいいのかはお任せしますが、影の作り方によって被写体に表情を出すことができることがわかるかと思います。
ダウンライト
先程は前側から・正面から・右からと光を使い分けてみましたが、室内の照明や屋外で撮影する時は一般的には光は上から落ちてきています。
実際に、上から光が当たっている時にその方向によってどのような写真の見え方になるかを確認してみましょう。
人形の背中側から光を当たっている時は、先程の逆光と同じで人形の正面側が影になります。
次に真上から光を当てると、この人形は前髪が厚めですので、ちょっと顔が暗い感じになります。
最後に、人形の顔のやや前面側から光を落としてやると、先程の順光の写真に近いようですが、もう少し自然に光が当たっているように見えるかと思います。
光の当たる方向で見え方が全く異なるので上手く活用しよう
ここまででわかることは、光が被写体に当たる方向で写真に与えるイメージが全然違うということです。
撮影する時には、光の当たる方向を意識して、写真の仕上がりを想像しながら撮影することが必要です。
フラッシュやレフ板など補助光の活用方法
ここまでは、光が当たっている方向によってどう見えるか、そして、自分がどういう写真が撮りたいか考えて光の方向を意識して撮影しようということでした。
しかし、実際に撮影しようとする場合は、そんなにうまいこと光の方向に合わせて写真を撮ることができない場合があります。
例として、窓際に立った人を撮影しようと思った場合、被写体が丸っきりシルエットになってしまいます。
光の方向を変えようにも上手くいかず全く困ってしまいます。
フラッシュの直射とバウンス撮影
このような場合は、もう手前側から順光を作ってやるしかありません。
つまり、手前からライトを当てるわけです。
具体的には、カメラにフラッシュを装着します。
カメラに内蔵しているフラッシュも活用は可能ですが、ここでは外付けのクリップオンストロボというカメラの上に付いている金具(ホットシュー)に装着するタイプのものを使用します。
今回のテストにはEOS kiss Mを使用していますので、フラッシュにはキヤノンのスピードライト430EX3-RTを使います。
サードパーティ製のスピードライトも何種類もありますが、多少高いのを除けばキヤノン純正が安心です。
方向が変えられて明るさも十分ということから考えると、キヤノンの430EXⅢ-RTが妥当です。
フラッシュ直射
まず、カメラにフラッシュを装着して、被写体の方向にフラッシュを向けて(直射して)撮影します。
そうすると、先程説明した順光での撮影に近い形で撮影ができます。
純正のフラッシュだと、プリ発光といって、1回発光して明るさを確認した上で、もう1度発光しながら撮影して撮影の明るさを調整するような仕組みになっていますので、それほど明るすぎる感じにはなっていませんが、ちょっとのっぺりした感じにはなりますね。
天井バウンス撮影
次に、フラッシュを斜め上に向けて光を天井に当てるイメージで撮影します。
これを天井バウンス撮影といいます。
そうすると、先程のダウンライトを正面側から光を当てたイメージに近い自然な写りになっていることがわかると思います。
天井で光が乱反射して反射光の影が柔らかくなるので、自然な写りになります。
しかし、天井バウンスをするには少々条件があります。
方向が変えられる外付けフラッシュが必要
EOS kiss Mは内蔵フラッシュを装備しており、前記のような状況に内蔵フラッシュで対応できればいいのですが、残念ながらそれは難しいです。
内蔵フラッシュはカメラに内蔵して位置が固定しているため、
- 光量が足りない
- 方向が変えられない
- ディフューザーが付けられない
などの特徴があるからです。
光量が不足するので、どうしても光が当たった部分だけ明るくなり、他の部分は元のままなので、どうしても不自然になりますし、それをカバーするような調整もできません。
そのような事情で、光量が確保でき、方向も変えられるなどの調整ができる外付けのスピードライトが必要になります。
天井の色と高さ
また、天井バウンスをする際は、注意しなければならないことがあります。
それは、天井の色と高さです。
天井に色が付いている状態で天井バウンス撮影すると、天井の色が光に乗ってしまい、色が付いてしまいます。
また、普通の天井は3~4m位ですが、10m近くもあると天井に反射してきた光も弱くなってしまい、外付けのフラッシュでも思ったようには照らせません。
そのような状況では、天井ではなく、光を壁に横に当てる壁バウンス撮影するなども検討して下さい。
ディフューザーとレフ板
正面からフラッシュで当てた光が直線的で強いので、直射では少々のっぺりした写りになります。
また、天井の色や高さが思ったようにならないこともあります。
ディフューザー
天井バウンス撮影も壁バウンス撮影もできない場合、いよいよスピードライトの光を直接当てるしかありません。
しかし、直接当てる副作用を軽減するために、ディフューザーというアイテムがあります。
これは、スピードライトの前面に半透明なフィルタを取り付けることにより、光を拡散させるためのものです。
スピードライトには、半透明のキャップのようなものが付いていて、これをディフューザーと思っている方もいるでしょうが、直接取り付けたのでは光がそれほど拡散しないので、効果としては今一つです。
これは、バウンスアダプターと呼ばれていて、天井バウンスしても影の濃さが気になる場合があるため、それを和らげるのが基本的な用途です。
ディフューザーも色々ありますが、使っている人が多いのは、ハクバ クリップオンストロボディフューザー 2WAY Lサイズは手事で使っている人をよく見ます。
MサイズとLサイズがありますが、特段の事情がなければ大きい方が光がきれいに拡散しますので、値段もほとんど変わりませんしLサイズかと。
ただ、そんなに極端に違うわけでもありません(ほとんど気のせい)なのでMサイズの方が取り回しがいいので好みによります。
なるべく離れよう
ディフューザーは基本的にはなるべく大きなものの方が光がきれいに拡散するのですがスピードライトの位置なども関係して、レンズに干渉してはまずいので、あまり大きなものは使えません。
そのようなわけで、被写体とカメラがあまり近付いてはせっかくのディフューザーの効果を十分に得られませんので、ある程度離れる必要があります。
もちろん、あまり離れてしまっては光が十分に当たらなかったり、ピントが甘くなったりと難しいことも多いので、レンズやディフューザーのタイプに応じて自分で調整するしかありません。
レフ板
ここまではフラッシュを使う撮影だったのですが、もう少し原始的に白い紙や布などで太陽光を反射してやると柔らかい光になります。
外付けフラッシュの場合は価格も万単位にはなり電源には電池も使用しますし、なかなか管理は大変です。
ただ、レフ板で上手いこと反射光を当てないと不自然な感じになりますし、上手く光を当てられたとしても今度は固定するのはそれなりに大変です。
説明図で撮影した写真は明るくはなっていますが下から変に光が当たってちょっと失敗ぽいですね…。
しかし、レフ板は市販品でも価格が1000~2000円程度と安価で軽量なことは魅力ですし、1枚揃えておいてもよろしいかと思います。
まとめ
写真における光の重要性はおわかりいただけたでしょうか。
光を当てるのを失敗すると、思い切り高いカメラを使ったとしてもヘボヘボな写真しか撮れなかったなんてことになりかねません。
ぜひ、光の当て方(ライティング)についてマスターして素敵な写真を撮影してみて下さい。
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