どうしてカメラ沼・レンズ沼にはまるのか

2018年12月7日カメラ,カメラの選び方,交換レンズ

カメラやレンズをどんどん買い足し、買い替えてしまうカメラ沼・レンズ沼にはどうしてはまってしまうのでしょうか。そこには、カメラの性能と写真のクオリティの関係への過度な期待があるのではないかと思います。

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最初から高級機?

前のエントリーでは、初心者が最初に買うカメラはなんでもいいと書いたわけですが、実際には3台も買ってしまっており、冷静に考えると「それなら、最初から高級機を買った方がいいのでは」という疑問が生じます。

クラスと価格

大体の価格は、エントリー機(数万円)、プレミアムエントリー機(10万円弱)・中級機(10数万程度)、エントリーフルサイズ機(15~20万円)、フルサイズ機(20~30数万円)、プロ機(50万円以上)となっており、画質や使い勝手は上級になるにしたがって「少しずつ」上がって行きます。

おトクなのは?

値段と内容を比べてフルサイズエントリー機がなんとなくお得感が高いように見えます。
キヤノン6DmarkⅡ、ニコンD610、D750、ソニーα7Ⅱあたりで、機能性はプレミアムエントリー機程度にフルサイズセンサーを載せたもので、実際人気もあります。
もし、本体とレンズで20万円以上出すお金があるなら積極的にすすめたいと思います。

フルサイズエントリー機とは?

一方で、フルサイズエントリー機とほぼ同じ価格帯に中級機というクラスがあります。
これは、センサーサイズより操作性や機能を重視して、そちらにコストをかけたモデルです。

これは、フルサイズエントリー機は、操作性はほぼ初級機と同様でセンサーをフルサイズにしたものですが、中級機は逆に初級機と同等のセンサーですが操作性・機能をプロ機並に充実したものです。

せっかくカメラを買っても上手く撮れない

そんな感じで、おすすめの入門機を買って撮影します。
簡単な撮影であれば、これまでスマホで撮影していたのよりきれいに撮れます。

簡単というのは、屋外のような明るい場面で、撮りたいものを中心に置いた場合です。

構図問題

被写体を中心に置く構図は日の丸構図と言われており、基本の一つではありますが、どうしても写真が単調になり飽きやすいです。
このへんは写真の勉強を始めると、日の丸構図を卒業して、三分法を活用した撮影に移ることが多いです。
三分法とは、画面の端から三分の一の位置に被写体を置くとアクセントが出る一方落ち着くという写真の基本技法です。

構図を変えて失敗が増える

構図を変えてしまうと、撮りたい被写体ではなく、別なものにピントが合ってしまうという失敗が増えます。

最初のうちはピント位置もカメラにおまかせにしてオートで撮影すると思いますが、特に指定が無ければ、カメラのオートフォーカス(自動ピント合わせ)機能は画面内の一番近い物体にピントを合わせます
この物体が撮りたい被写体であれば問題無いのですが、もっと近いものにピントが合ってしまうと肝心のものはボケボケになってしまいます。

暗いところで撮影するとブレる・ピントが甘くなる

もう一つありがちなのが、暗い場所で撮影した場合に写真がボケてしまうという問題です。

カメラは、暗くなってくるとシャッター速度、絞り、ISO感度の3つのパラメーターを自動的に調整します。

暗くなると、まず絞りを開けて明るく(F値を小さく)しますが、これはレンズの最小F値が限度になり、それ以上は小さく(明るく)なりません。
一方で、絞りを開けると、ピントが合う幅が狭くなりますので、ピントが合っている部分が少なくなります。

次にシャッター速度を遅くします。
光の量が少ない状態では、画像センサーに光が当たる時間を長くすればいいからです。

実際には、シャッター速度が1/30~1/60秒位より遅くなると写真がぶれやすいため、それ以上は遅くなりません。

シャッター速度を遅くしても、カメラに手ブレ補正機能があればブレをある程度抑えてくれますが、さすがに被写体が動くのは止められませんので、シャッター速度は速いにこしたことはありません。

最後に、ISO感度を上げます。
これは、画像センサーに入る画像信号を電気的に増幅する操作です。
この電気的というが問題で、増幅されるのは画像信号だけではなくノイズについても増幅してしまうので、感度が上がるとノイズが増えて写真がザラザラします。

もう1つ、ピントを合わせられる条件に、カメラにはっきり画像が写る必要があるのですが、そもそも暗くなると映像がはっきりしなくなりますのでピントも合いにくくなります。

ということで、暗くなってくると、カメラの自動調整がしきれず、画像がブレて、ピントが合いにくくなり、画像にノイズが乗ります

さらに、カメラにはEV補正という明るさを調整する機能もあって、これを使えばいいように思えますが、EVをプラス補正すると上記と同様にカメラの機能としてシャッター速度・絞り・ISO感度を明るい方に調整しますのでさらにピントが合いにくくブレやすくなります。

上手く撮れないのはカメラのせい?

そんなわけで、写真に慣れてきて、無理に暗いところで撮影しようとすると急に失敗写真が増えることになります。

むしろ、プロなどの写真が上手な人は、フラッシュやLEDライトなど補助光を使って撮ることによってカバーしているのですが、初心者の人ほどカメラやレンズの性能が低いせいで撮影に失敗していると思いがちです。
(暗く見える写真でも、明るくして撮影してから補正してあることもよくあります。)

そのような勘違いにより、AFの性能がよく、感度も高い高価なカメラや明るい大口径レンズをどんどん求めて買い替えてしまうのがカメラ沼やレンズ沼なのです。

プロと初心者の一番大きな違いとは?

同じ被写体を同じカメラを使って初心者とプロの両方で撮ってみると、明らかに出来が違うものになります。

これはプロの方がカメラを活かした構図を取ることができるという経験上の問題も大きいのですが、写真がきれいに見えるには、ピント・色合い・明るさなどもぴったり合っている必要があり、カメラの設定による写り方の違いの理解が必要になります。

カメラだけ良くなっても…

なので、プロがエントリー機を使わないのは、設定項目が少ないのにカメラ任せにしようとしても、ピント・色合い・明るさを判断するための機能が弱いためです。

このピント・色合い・明るさといった写真の要素は、たとえ高級機であってもカメラ任せではカメラマンの思ったように写せるとは限らず、細かい設定はある程度必要になります。
そのため、初心者がフルサイズ機で撮影しても、エントリー機よりはきれいに写るでしょうが、プロのようには撮れません

この状況で、買い替えた高価なカメラで思ったような写真が撮れず、さらに「もっと高価な機材を使えば、もっといい写真が撮れるに違いない!」と、どんどんエスカレートするというのがカメラ沼にはまっていく理由です。

フルサイズセンサーのメリット

一方、フルサイズセンサーのメリットは、センサーサイズが大きいことから光の当たる量も多く感度が上がること、画素数を上げやすいことが上げられます。

高感度はスタジオなどの室内や夜間の撮影に有利ですが、明るい屋外の日中にはあまり必要がなく、高画素数は表示・印刷する時の縦横のドットが増えるということですので、それほど大きな写真を使う場面以外では必要ありません。
実際、最近は写真の用途はネット経由でパソコンやスマホで見るのがほとんどでしょうが、画面に表示するのは小さな写真ですので細かいところは見えません

ステップアップのタイミング

そして、中級機以上のカメラは、AFなどのピントを合わせる機能、写真の色合いや明るさなどを調整する画像エンジンなどに十分なコストをかけられ、ボタンやダイヤルなどの配置などにもコスト配分してあり操作しやすいため、撮影に習熟すればプロに近い写真を撮ることが可能です。

なので、まずカメラの教本やマニュアルを読み込んで、少しずつ操作を工夫してみて実際に撮影を繰り返し、「エントリー機の操作じゃたるい…」と思ったところで中級機を買った方がいいでしょう。

フルサイズエントリー機を買うタイミング

では、フルサイズエントリー機はどういう状況で買うのがいいかというと、エントリー機できれい撮影できるようになり、フラッシュを使えない暗いところでの撮影が多い、あるいは高速で動くものばかり撮影するという状況です。

具体的には、もっと細かい画像、あるいは、夜景、スポーツ、自然風景などを撮る機会が多く、対応できなくなった時に購入するのがよろしいかと。

中級以下を買って練習するのもあり

ただ、フルサイズエントリー機にしろ中級機にしろ、エントリー機からの価格差は、フルサイズの上級機までほどではないので、その辺を買って練習するというのもありかとは思います。

その後、ある程度自分で納得行く写真が撮れるようになってからフルサイズ上級機にステップアップする方が無難です。

カメラはほどほどにして練習しましょう…

最初からどんどん高いカメラを買うのは、いきなり高価な機材を使ったにも関わらず、結局細かい操作ができず思ったように写真を撮れないという罠に陥り、カメラ自体をお蔵入りさせやすいです。

逆に、上級機の強力なオート撮影機能にいきなり慣れてしまうと、細かい操作をする機会を失ってしまい、撮影技術の向上をする機会を失う可能性があります。
つまり、写真に違和感があったとしても、調整の仕方がわからなくなってしまうのです。

ですので、せめて初心者のうちは値頃なサイズのカメラを買って練習してみてはいかがでしょうか。

サブカメラ沼もあるよ…

そうやってカメラメーカーのフラッグシップモデルにたどりついたとしても、カメラ自体が相当大きく重くなりますので、街中のスナップ撮影など気を使わないでササッと撮る撮影に持ち出すには大げさです。

そうなると、立派なカメラを持っていたとしても、やっぱり小型のカメラをサブカメラとして買ってしまったりします。
しかし、フラッグシップモデルまで買ってしまうと、やはり小型のカメラでは画質や操作性に物足りず、満足行くまで何台も買い替えたりというのもありがちです。

人によっては、何台もカメラを持っているのに、さらにドンドンとカメラを買ってしまうサブカメラ沼もあります。

次にはまりがちなレンズ沼

カメラを買い替えながら練習し、カメラの設定ができて、ある程度失敗写真が減ってくると、次の段階に移ります。

最初に買うレンズは単焦点になりがち…

カメラとズームレンズがセットになったレンズキットは割安で便利なので、初めてカメラを購入する初心者の方は大抵買うかと思います。

このレンズキットの標準ズームレンズ(キットレンズ)は、大体17-50mm F3.5-5.6という比較的最小F値が大きい暗めのレンズです。

撮影する際にF値の設定を小さくしていくとピントが合った部分以外をボカすことができますが、キットレンズは最小のF値が大きめなので、単純にオートで撮影しただけではあまりボケませんので、スマホのカメラなどとの違いがはっきりとはわかりません

そこで最小F値の小さいレンズが欲しくなるわけですが、そもそもF値が小さいズームレンズはかなり値段が高いです。

しかし、実際のところF値が小さく値段が安いレンズを探すと、大抵どのメーカーも単焦点の50mm F1.8のレンズは2万円前後のお手頃価格で売っています

そんなこともあり、レンズキットを買った次に買うのはこの単焦点レンズになるかと思います。

撒き餌レンズの罠

この50mm単焦点は、安い割にはなかなか性能が良く、一眼らしいボケ写真が撮影できます

しかし、なかなか上手く行かないもので、50mmは少し大きめに写ってしまう焦点距離のレンズなため、慣れないと室内撮影には難しいのです。

そんなわけで、せっかく新しいレンズを買ったのですが、次のレンズに向かうことになります。

カメラ愛好家からは50mm F1.8は撒き餌レンズと呼ばれており、メーカーの意図としては、使いやすい入門用のレンズとして提供していて、レンズ沼の入り口になるように安くしてあるなどと言われています。

本当かどうかは知りませんけど、ありそうな話ですね。

そしてどんどん単焦点レンズを購入

ところが、バラ売りで新しくレンズを1本買ってしまえば、次のレンズを買うための心理的ハードルはがっつり下がっております

距離や明るさに応じて撮りたいものが増えるたびに広角とか望遠などのレンズを買い、よりボケた写真を撮るためにF1.4など明るい高級レンズにも手を出すようになります。

大口径ズームレンズへ

明るい単焦点レンズをいくつも購入するようになると、撮影するたびにレンズをどんどん交換するのもなかなか面倒になってきます。

そうすると、多少F値が大きくなってもズームレンズの方がシャッターチャンスを捉えやすく便利なのではという気になってきます。
そこで最小絞りがF4のズームレンズ(10万円コース)を購入してしまいます。

F4タイプのズームレンズは小三元と言われており、明るさやボケだけではなく解像度も高性能です。

そして大三元レンズへ

最後にたどりつくのは大三元と呼ばれるF2.8固定のズームレンズです。

フルサイズ用では小三元のズームレンズは10万円台、大三元のズームレンズは20万円台はします。
さすがに写りも良くプロも使うようなものですが、光を取り込むため口径が大きい上にズーム機構の重量のため、かなり大きくて重いです…。

究極の道楽ゾーンへ

普通に撮る分には大三元でもお釣りが来るレベルなのですが、遠隔で高速に動く鳥、飛行機、レーシングカー、スポーツ写真などは被写体が高速な上に遠くから撮影するため望遠レンズで撮影します。

このような用途に使う単焦点レンズは400mm F2.8、500mm F2.8、600mm F2.8などの巨大レンズで100万を超えるものも珍しくありません。

趣味でこういうレンズを買う人もいるので、世の中は広いですね…。

それとは別に、天体撮影などは、夜暗い中を撮影するので、広角で大口径の単焦点レンズが欲しくなります。
焦点距離でいうと、12mmとか14mmのF1.4などで、こちらは望遠ほどの価格はしないようです。

レンズ沼の終わり

レンズについては、実際に買ってしまえば、大体どの程度の写りになるかはわかりますので、自分で撮影するようなジャンル用の大口径レンズを購入すれば気が済みます。

カメラと違って、レンズについては焦点距離と最小F値で、どのような写真が撮れるのかは想像が付きやすいという面では気を付ければ無駄な買い物はしないで済みそうですが、上記に示したように価格は高級カメラのボディ以上のものもゴロゴロしていますので、レンズ沼にはまってしまうと出てくるのはなかなか大変です。

カメラやレンズを研究して選ぶのも楽しみのうち

カメラ沼やレンズ沼は、とてもたくさんお金がかかって大変と思う人もいるでしょうけど、沼にはまった本人にとっては、高級なカメラ・レンズを所有するのも実際に写真を撮るのも相当満足度が高いです。

また、カメラやレンズは中古販売業者なども充実していますので、買い換える時には不要なものは下取りに出したり売ったりするのも簡単です。

次にはどんなカメラ・レンズが買えるなどと想像して、購入する計画を立てるのも、気分が盛り上がるものです。

一緒にカメラ沼にはまってみませんか?

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