個人・団体撮影会に使用するレンズの選び方

2018年12月7日カメラ,交換レンズ

モデル撮影会ではどんな状況で撮影するのかよくわからない人が多いようですので、それを含めて使用するレンズについて説明します。

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焦点距離の選び方

まず、レンズの選び方の第1は、どの焦点距離(=画角)が必要かで選びます。

撮影会で撮影する距離

撮影会は、屋内や屋外、個人撮影会や団体撮影会などの種類があります。

撮影会で撮影する距離は、個人撮影の場合や団体撮影会のセッション撮影のようにカメラマンとモデルが1対1で撮影する場合は、屋内ならば1~2m、屋外ならば2~3mになります。
団体撮影会で囲みの場合には、カメラマンからモデルさんまでの距離は大体2~4mになります。

この距離に使用するレンズはどのようなものがいいのでしょうか。

焦点距離・画角

レンズには焦点距離というものがあり、レンズと画像センサーの距離を示します。
また、レンズで撮影できる角度の範囲を画角といいます。

焦点距離が大きいほど、狭い部分を拡大すること(望遠)になり画角は小さく、焦点距離が小さいほど画角は大きく(広角)なります。

そんなわけで、レンズの選び方の第1は、どの焦点距離(=画角)が必要かによります。

撮影の距離と焦点距離ごとの写り方

屋内での1対1撮影の場合は1~2mの距離になります。

個人撮影24mm
個人撮影での24mm
個人撮影70mm
個人撮影での70mm

屋外や屋内でも囲み撮影の場合は、距離が倍になりますので、上記の大体倍になります。

囲み撮影70mm
団体撮影(囲み撮影)70mm
囲み撮影140mm
団体撮影(囲み撮影)140mm相当(写真は70mmで撮影して縦横半分ずつにトリミングして拡大しています)

ズームレンズか単焦点レンズか

レンズには、焦点距離を決まった範囲で変更できるズームレンズと、焦点距離が固定されている単焦点レンズがあります。

ズームレンズの特徴は、もちろん焦点距離を変更できるため、写す大きさや範囲などを調整できるところです。
一方、単焦点レンズで撮影する場合は、多少立ち位置を変更することにより画角は変更できますが、基本的にあまり画角は変更できません

逆に単焦点レンズのメリットとしては、構造が簡単ですので、開放F値が小さく、つまり明るくなります。
単焦点レンズは、アップで近接して撮影をするマクロレンズが最も暗くてF2.8、安価な普通のレンズでF1.8~2、高級なレンズではF1.2~F1.4、特殊なレンズではF0.8~1.0などのレンズもあります。
一方、ズームレンズでは安価なものはF3.5-5.6、高級なものでもF2.8となっていて、単焦点レンズよりは暗いです。

ズームレンズと単焦点レンズのどちらを使って撮影したらいいのかは色々な考え方がありますが、最初は色々な焦点距離で撮影するためにズームレンズで撮影するのが良いかと思います。
カメラのレンズキットの標準ズームレンズ(17-55mmなど)がセットになっているのは、そういう理由です。

ただ、キットレンズは、F値が大きいので、若干暗めでシャッター速度が大きくなりがちですし、スマホではなくカメラを使う理由にはボカしたいというのがあるのですが、大きいボケを出す性能は弱いという問題があります。
ただし、明るさに関してはフラッシュやスタジオに設置されているライトなどで補助できますので、色々なアングルに対するシャッターチャンスを優先してズームレンズから使ってみてはいかがでしょうか。
ボケを出すようなレンズは基本的に高価ですので、ボケを求めるのは次の段階で構わないと思います。

ズームレンズを使う場合

個人撮影の場合は標準ズームレンズ

写真で示した通り、個人撮影の場合には、1mほどの近い位置から全身が撮影できる24mmから、2mほどの距離から上半身が撮影できる70mmほどの焦点距離のレンズがあればよいと思います。
フルサイズだと24-70mm、APS-Cだと17-55mmのレンズになります。
ほぼ全てのメーカーではこの画角24-70mmのズームレンズは標準ズームレンズとして販売していますし、カメラとレンズがセットで販売されたレンズキットのレンズも標準ズームレンズです。

キットレンズでも、フラッシュの天井反射を利用した天井バウンス撮影などを利用して撮影すれば、上級の撮影が可能です。

団体撮影会(囲み撮影)の際は望遠ズームレンズ

囲み撮影の場合には、距離が倍ですので48mm~140mmほどのズームレンズがあれば、大体足りそうです。
実際にメーカーから販売されているレンズは望遠ズームレンズの70-200mmなどですので、これが良さそうです。
しかし、距離によっては近すぎるかもしれません。
もっとも、囲み撮影の場合は後ろには下がる余裕があることが多いので、ちょっと下がって撮影する対応でカバーしましょう。

望遠で撮影するような場合は、色々注意が必要となります。
遠目の距離で撮影することになりますので、フラッシュ(ストロボ)が使いにくいです。
また、画角が狭いので少しの動きも大きな画面のずれになるのでぶれやすいです。

単焦点レンズで撮影する場合

単焦点レンズの特徴は、F値が非常に小さく、明るくてボケることです。
焦点距離が固定ですので、レンズ自体では画角を変えられませんが、多少なら前後に動いて画角を調整は可能です。
逆に、画角は固定なので、撮影する大きさを決めた上で予め焦点距離を選んでおく必要があります。

個人撮影の場合は、24-70mmの中間で50mm程度が無難かと思います。
もし、アップが中心なら75mm以上が適当です。
囲み撮影や屋外での撮影の場合は、上記の倍の100mmや135mm、少し引いて全身を中心に撮影したいなら75mmや100mm。

個人的なレンズの画角のおすすめ

撮影する場合、どうしても衣装や背景など全体が写る全身撮影を中心にしがちです。
しかし、自分の経験を申し上げると、実際のところは、なるべくアップめを中心にした方が自分でもきれいだと思う写真が多い気がします。

カメラのピントを合わせるオートフォーカスの構造上、どうしても遠くなるとピントが甘くなり、ぶれたようなくっきりしない写真になりがちです。
ズームレンズの場合は画角を変えられますので、自分で構図を選べますが、単焦点レンズを選ぶ際には、注意して下さい。

レンズのステップアップのおすすめ

標準ズームレンズ(キットレンズ)

レンズを選ぶ際は、説明した通り、最初はキットレンズの標準ズームレンズ(フルサイズ24-70mm、APS-C17-55mm、マイクロフォーサーズ12-35mm)で絞り値がF3.5-5.6というものを最初に使うのがいいでしょう。
とにかく値段が安いので練習用には最適です。
ポイントは、早めに外付けフラッシュを購入して、フラッシュの使い方を覚えることです。

どうしてフラッシュ、それも内蔵フラッシュではなく外付けフラッシュが必要なのかは以下の記事をご覧下さい。

標準ズームレンズ(大口径ズームレンズ)

キットレンズでもフラッシュで適切に補助光を使ってやれば、相当程度きれいに撮影できますが、高性能なレンズはやはり解像度が高く細かい描写が繊細なため魅力的です。
また、F値が変わるズームレンズは、広角側で撮影する場合と望遠側で撮影する場合でF値が異なるため、カメラの設定するシャッター速度が異なるため、望遠側で撮る時に知らずにブレていたりすることがあります。

というわけで、キットレンズで物足りなくなった時は、F値が小さくて、開放F値が固定のズームレンズをおすすめします。
これには、F2.8という明るいタイプと、F4というもう若干暗いレンズがあります。
価格も相当違いますので、お財布と相談して下さい。

もし、財政的に余力がある場合は、レンズキットのレンズは使わず、こちらのズームレンズを購入しても構いませんが、相当高価です。

単焦点レンズ

個人的にはアップの写真と全身の写真を両方撮りたいので、ズームレンズ派なのですが、単焦点レンズの方が解像度が高いため、撮影は単焦点レンズに限るという方も存在します。

その際には、キットレンズで撮影した時に多用した焦点距離のレンズを使うのが基本です。
個人的おすすめは、実際に人間の片目で見た時と同じサイズに写るという50mmのレンズです。
初中級機であるAPS-C機を購入したときでも、販売価格がとにかく安い50mmのレンズが欲しくなってしまいますが、室内撮影の場合は画角で50mm、つまりAPS-Cだと35mmから購入するのがおすすめです。

レンズの性能(スペック)の見方

レンズの表記で、○○mm F○.○ などという表示があり、mmの方は焦点距離、Fの方は最小絞り値を示しています。

焦点距離

レンズには焦点距離というものがあり、レンズと画像センサーの距離を示します。
また、レンズで撮影できる角度の範囲を画角といいます。

焦点距離が大きいほど、狭い部分を拡大すること(望遠)になり画角は小さく、焦点距離が小さいほど画角は大きく(広角)なります。

ただし、センサーサイズが小さくなると画角は小さくなります。
そのため、画角を揃えるために、焦点距離をフルサイズを基準として換算して使用します。
フルサイズの焦点距離を1とすると、APS-Cは1.5(キヤノンのAPS-Cセンサーだけは若干小さいので1.6)、オリンパスやパナソニックなどのマイクロフォーサーズの場合は2となります。
フルサイズの50mm、APS-Cの35mm、マイクロフォーサーズ17.5mmのレンズは、ざっくり同じ画角になります。
この先は、特に説明がなければ全てフルサイズ換算値で説明します。

絞り値

絞り値はF値といいますが、どれだけの光の量を取り込むことができるかという基準を示していて、F値が小さいほど光の量をたくさん取り込める明るいレンズということになります。
カメラの世界では、F値が2倍変わることを1段といい、2の平方根(≒1.4倍)を0.5段(=半段)としています。
F2から半段暗くなるとF2.8、1段暗くなるとF4になります。
レンズに表示されているF値は、一番F値を小さくできる最小F値で、レンズの光を調整する機能の絞りを全部開けた状態なので開放F値といいます。
逆にどのレンズも一番絞りを閉めた状態のF値はほぼ同じで、概ねF22前後のようです。

単焦点レンズとズームレンズ

レンズの焦点距離の表示で、単に○○mmと書かれている場合は、焦点距離が固定の単焦点レンズ、○○-○○mmと書かれている場合は焦点距離をその間で変更できるズームレンズです。

手ブレ補正

キヤノンのレンズではレンズの表記の後ろの方にあるISという表示、他のメーカーではOSやOSSといった表示がされています。
これはレンズ内に手ぶれ補正の仕組みが内蔵されているという表示です。
写真に写るブレが目立たなくなる基準は1/焦点距離よりシャッター速度が短くなるところと言われていますが、手ブレ補正機能がある場合、それよりシャター速度が数倍長くなってもカメラがカバーしてくれます。
手ぶれ補正機能を内蔵するとレンズ自体も大きく重くなる傾向がありますが、近年発売されるレンズはほぼ手ブレ補正機能が内蔵されており、カメラ内の手ブレ補正機能と合わせて非常に手ブレしにくくなっています。

まとめ

レンズの選び方を説明してみましたが、わかりましたでしょうか。
わからない場合は予算の許す範囲でとにかくF値の小さいズームレンズを目指しますが、届か無さそうであれば、キットレンズ+外付けフラッシュでがんばりましょう

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当ブログでは、自分で撮ったモデル撮影会の写真を紹介している記事と、撮影会用のカメラの選び方や撮影方法などについての記事を紹介しています。
是非見ていって下さい。

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