もうフルサイズはいらないのかフルサイズ機とAPS-C機の比較で考察

2019年9月3日EOS80D,α7R III,カメラ,カメラの選び方

カメラを購入する際にあと少し予算を足せばフルサイズ機が購入できるが、APS-C機の方がレンズも安く必要装備を揃えやすいので、どちらがいいか迷いがちです。
今回はソニーのフルサイズミラーレス一眼α7RIIIとキヤノンのAPS-C一眼レフEOS 80Dの比較から考察してみます。

昔は、乗用車を乗り換えて、最後はクラウンを目指すなんていう「いつかはクラウン」という言葉がありました。
カメラを趣味にしている人は、同じように「いつかはフルサイズ」っていう感じに思う人もいるのではないかと思います。
もっとも、物欲でぶっ壊れてさっさとフルサイズ機買っちゃう人も結構いるようですけどね。(俺とか…)

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フルサイズは欲しくなるけど、それほど違うの?

どんな時にフルサイズ機が欲しくなるかというと、やはり、自分の持っている普及機だと思ったようにきれいな写真が撮れない時かと思います。
そんな時に、プロカメラマンの撮ったフルサイズ機の写真なんかを見て「あ、これだー」みたいな感じで欲しくてほしくてたまらない状態になるのではないでしょうか。

しかしまあ、実際のところフルサイズ機を買って写真を撮ってみた感想としては「思ったほどは変わらないよなあ」という感想を抱く方がほとんどだと思います。
フルサイズ機を持っている人に「フルサイズの方がいいですか?」なんて素朴な疑問をぶつけたことのある方もいるかと思いますが、大抵の方は「いいって言えばいいけどそれほどは変わらないよ」と答えるかと思います。
自分でも大体はそんな感じに答えます。

画像センサーサイズの差

予習として、センサーサイズの大きさがどの位違うのか図で見てみましょう。
センサーサイズの差は、大きさの差を図にしてみるとわかりますが、一周り位は違うでしょうか。
この大きさの差がボディの大きさやレンズ系の大きさに直結します。
センサーサイズが大きくなると重く高価になります。
センサーサイズ比較図

画像比較(サンプル写真)

それでは、実際に画像比較をしてみましょう。

比較するカメラは、キヤノンのEOS kiss X7(1700)、EOS80D(2420万画素)、EOS kiss X7(1790万画素)です。
実際に自分で撮った写真で比較してみます。

EOS kiss X7

EOS kiss X7 + シグマ17-50mm F2.8 EX DC OS HSM、モデル:ゆいなさん
ゆいな

EOS 80D

EOS 80D + シグマ17-50mm F2.8 EX DC OS HSM、モデル:ゆいなさん
ゆいな

α7RIII

α7RIII + FE24-70mm F2.8 GMaster、モデル:カガリさん
カガリ

どの写真も可愛いですね。
ぱっと見、それほどすごい差があるようには見えません
拡大してみても、そんなには変わらないように感じるかと思います。

拡大画像比較

拡大画像については、左目の拡大画像を並べてみます。
写真のストックを漁って、ピントが合っているものを採用しています。

 

EOS kiss X7EOS 80Dα7RIII
目(ゆいな)目(ゆいな)目(カガリ)
5184×3456画素6000×4000画素7952×5304画素

いかがでしょうか。
ここまで拡大してようやく入門機の方は「ちょっとボヤッとしているなあ」程度の差しかありません。

縦横の画素数を比較してみると、わかりますが、入門機EOS kiss X7と高画素フルサイズ機α7RIIIとの間でも縦横の画素数は約1.5倍しか変わりません。
ということは、ドットの密度も縦横1.5倍ということになります。
実際に出力された画像の差も、概ねその程度の感じと言えるのではないでしょうか。

どうでしょう。
「いいって言えばいいけどそれほどは変わらないよ」という感想ではないでしょうか。

解像度以外にセンサーサイズの差が影響する点

センサーサイズの差が解像度の差だけかというと、それだけではありません。

センサー画素の大きさの影響

確かに、画像センサーが大きくなるほど、その上に並べられる画素数が多くなるので、解像度が上がりますが、技術的には画素を小さくすれば解像度を上げることができます

一方で、小さい画像センサーの画素数を増やした場合、画素1つあたりの面積が減りますので、そこに当たる光の量も比例して減ります
そうすると、同じ明るさで表示するためには、画像センサーから出力される信号を電気的に大きくしてやる(増幅する)必要があります。
信号を単純に増幅することは技術的には簡単なのですが、画像センサーから出力された信号には、雑音ともいうべき不必要な信号(ノイズ)が含まれていますので、その信号も一緒に増幅されますので、信号を並べて写真データにした時にノイズが大きくでます

センサーの明るさ計算

そのため、各社では画像センサーのノイズを抑える技術も一緒に開発していますが、その技術は小さなセンサーだけでなく、フルサイズのような大きなセンサーにも同様に適用されますので、センサーサイズが大きくなるほど明るくてきれいな画像を出力しやすい傾向にあります。

センサーサイズと画像品質

画像センサーの解像度だけ上げればいいわけではない

ただし、解像度を上げるためには精度の高いレンズが必要です。
高い精度のレンズを作るためにはコストがかかりますので、フルサイズ用の高級レンズは大きくて重いだけではなく非常に高価になるわけです。

結局のところ、先ほどの目の画像がカメラによって大した差に見えないのは、十分に明るい環境で撮影してノイズの影響がでにくい状態で撮影しているとともに、目にきっちりピントを合わせるという条件をクリアーしているためです。
α7RIIIは、フルサイズの高解像度を撮影できるという点も優れていますが、瞳AFという「ピントを自動的に目に合わせる機構」が搭載されているため、撮影は非常に楽です。
一方、キヤノンの一眼レフ機は瞳AF機能がありませんので、手動で目の位置にピントを合わせる必要があります。
他にもオートホワイトバランス(AWB)など色を調整する機能も一般に高級機の方が高機能ですので、高級機のメリットは画像センサー以外の部分も大きいと言えます。

解像度が必要な場面

実際のところ、パソコンのモニターやスマホなど実際に写真を表示するデバイスの解像度はそれほど高いわけではありませんので、どこまでの解像度が必要かは考えておく必要があります。
高解像度が必要な場面は以下のような時です。

大きな画像を必要とする場合

大きな画面に表示する場合やポスターなど大きな紙に印刷する場合は、細かいところまで見えますので、解像度が必要です。
ただ、実際のところ、入門機位で撮影した写真をA3位に印刷しても十分な解像度があります。

画像を拡大する必要がある場合

もう1つは、画像を拡大して細かい部分を表示する場合がある時です。
具体的には、写真の不要な部分を避けて主要な部分だけを切り取って拡大(トリミング)して新たな写真として取り扱う場合です。
例えば、4000万画素の写真の半分の面積だけトリミングして使う場合は2000万画素の写真として使えますが、2000万画素の写真を同様にトリミングした場合は1000万画素分の写真しか残りません。

フルサイズ必要論・不要論についてまとめ

以上のとおり、カメラの画像センサーサイズは必ずしも写真の出来に必須の要素ではなく、撮影時の環境をカバーするものであったりする程度です。
各社の中級機は、センサーサイズこそAPS-Cなどフルサイズより小さいものを使っていますが、AFやAWBなど各種操作機能は上級機と同様のものを使っている場合も多くありますし、センサーサイズの大きさだけにとらわれずカメラを選ぶ必要があります。

フルサイズじゃないといい写真が撮れないと思いがちではありますが、是非、写真撮影の技術を磨いて、カメラの機能を最大限に活かして素敵な写真を撮って下さい。

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