【相談】ちゃんと撮っているはずなのに写真がピンボケに見えるんですけど…
【相談】ちゃんと撮っているはずなのに写真がピンボケに見えるんですけど…
カメラで撮影する際になぜかピントが甘い写真になっていることはないでしょうか。
原因を考えてみます。
写真がボケている
某所で「写真全体がどうも全体的にピントがきっちり合っていない感じになっているんですけど、もっといいカメラを買った方がいいのでしょうか」という質問を受けました。
相談者のカメラ
どんなカメラを使っているのか伺ったところ、ニコンのD5000系の少し前の型ということで、御本人もはっきり覚えていないようですが、D5300かそのあたりのようです。
細かいことは全然わからないようですので、カメラはそのへんでレンズキットのレンズを使っていると想定します。
カメラ自体はそれほど昔のものではなく、キットレンズの標準ズームレンズ「AF-P DX NIKKOR 18-55mm f/3.5-5.6G VR」は、レンズ内手ブレ補正で4段ですので、最新のもの(5~6段)と比べてもほとんど変わりません。
(もう1世代前のD5100でもキットレンズは同じレンズですね)
つまり、カメラ自体をもっと高いものにしてもそれほどの改善効果はなさそうです。(後述)
失敗写真の原因
それでは、原因を考えてみます。
オートフォーカスを使えていない可能性
第1の可能性として、ピントを合わせるオートフォーカスをちゃんと使えていない場合です。
デジタルカメラは、デジタル一眼レフやミラーレスに限らず、標準的な設定では、シャッターを半押しした時に、画面内の一番手前にあるものにピントを合わせるようにできています。
つまり、写したい被写体があったとしても、手前に写る物があれば、そちらにピントを取られます。
あるいは、事前にAFフレーム(ピント位置)を指定していた場合は、その位置にピントが合います。
確かめ方は、まずカメラを構えて、適当なものの方に向けてファインダーを覗いて、シャッターを半押しする作業を何度かしてみて下さい。
「ピッ」という音とともに、ファインダー内のどこかにピントが合った場所のマークが表示されます。
思った場所にピントが合わなければ、説明書のAFフレームの位置を指定する方法を探して下さい。
最近のミラーレスカメラだと、背面モニターがタッチパネルになっていて、ピントを合わせたい場所を押せばそのポイントにピントが合うようにできています。
写真自体から判別したい場合は、写真を拡大して、どこにピントが合っているのか確認して下さい。
くっきりしたピントの合っている場所がどこかにあるかと思います。
というわけで、原因がこの場合は、ちゃんとピントを合わせて撮影してね、というわけです。
AFが原因ではない模様
しかし、この質問をしてきた方は、「カメラ教室で撮影の仕方を習ってきたので、ちゃんとピントを合わせる場所は設定して撮影しました。」という話です。
驚きました。俺もそんなん行ったことねーよ。
画素数が足りない可能性
というわけで、問題の写真を見せて貰いました。
まあ、若干ボケているように見えなくもないですが、どっちかというと手ブレかもしれません。
その前に、少し前の世代のカメラということなので、カメラ自体の解像度(画素数)が足りない可能性についても考えました。
しかし、そもそもの話としてD5300でも2400万画素あって、最新のカメラは大体このクラスです。
その1世代前のD5100でも1600万画素はあって、自分が持っているGX7MK2も1600万画素ですが、もうちょいきれいに写ります。
実際、他にも同じ時に撮影した写真も見せていただきましたが、他はピントがビシッと合っています。
というわけで、画素数への疑いはガセでした。
原因はブレ
ということは、考えられる可能性はピンボケではなくブレているというのが有力です。
ブレの原理
デジタルカメラは、シャッターボタンを押して、シャッターが開いている間に受けた光を画像センサーで受け取って、それをデジタルデータに変換しています。
シャッターが開いている時間の間に被写体かカメラが動けば、像自体も多重に写ってしまいます。
カメラ自体が動いてしまう「手ぶれ」の場合、画面全体がブレてピントが合っていないような画面に写ります。
また、被写体が動く「被写体ぶれ」は、人や乗り物など動く被写体だけがブレます。
写真を見た限りでは手ぶれの可能性が高いように思えます。
撮影した写真情報をチェック
カメラで撮影した写真を背面モニターで再生してみれば、そこに撮影の時の設定情報が表示されるかと思います。
18mm F4.0 1/60 ISO200 などという感じに表示されます。
(シャッターを半押しした時にも表示されますので、注意して下さい)
18mmというのは焦点距離で、今回の「AF-P DX NIKKOR 18-55mm f/3.5-5.6G VR」であれば、18mmから55mmまで可変できます。
Fが付いた数字は絞り値で、小さいほど明るく写り、ピントが合う距離が狭くなります。
レンズによって最低F値が決まっていて、今回の「AF-P DX NIKKOR 18-55mm f/3.5-5.6G VR」の場合には、一番広角の18mmの場合には最低F値はF3.5、望遠側の55mmの場合にはF5.6になります。
1/60というのは、シャッター速度で単位は秒で、シャッターが開いている時間です。
1/60なら60分の1秒ということですね。
ISO200というのは撮影感度で、大きいほど明るく写りますが、感度を高くするとノイズも一緒に増幅されてしまうので、ザラザラした画質になります。
シャッター速度をチェック
ここで注目するのはシャッター速度です。
上記で説明した通り、シャッター速度が速い(時間が短い)ほど、ブレは起きにくいですが、写真の明るさが暗くなります。
シャッター速度の目安は、焦点距離(mm)分の1秒より高速なことで、上記の表示だと18mmですので、1/18秒より速ければブレは起きにくいということになります。
このシャッター速度は、カメラを動かさずに撮影できている場合ですので、注意して下さい。
手ぶれを起こさない撮影方法
カメラは左手でボディやレンズを支えて、右手でシャッターボタンを押しますので、左手が動かないように肘を身体にぴったり付けて撮影して下さい。
手ぶれ補正機能
ただし、上記はカメラやレンズに手ぶれ補正機能が無い場合の目安です。
カメラやレンズのカタログ値に「手ぶれ補正機能」という項目がありますが、ここには4段とか5.5段とかいう数値があります。
この数値が1段増えるごとにシャッター速度が半分の速度でも大丈夫になります。
1段=2倍、2段=2倍×2倍=4倍、3段=2倍×2倍×2倍=8倍…、ですね。ちなみに0.5段だと1.4倍ほどです。
ですので、4段だと16倍になりますので、18mmだと16/18で1秒弱のシャッター速度(実際に設定できるのは1/2秒)で問題ないということになります。
まあ、カメラやレンズに手ブレ補正機能があれば、上記の写真のような姿勢はそれほど厳しくする必要は無いのかもしれませんね。
カメラとレンズに手ぶれ補正機能がそれぞれあれば合計した分だけの補正が行われる場合が多いです。
被写体ぶれ
と、それだけで済めばいいのですが、そこまで甘くはありません。
この手ぶれ補正機能は、カメラの内部を動かすことによって、手が動いた分を打ち消す効果を作るメカニズムですので、カメラの外が動く場合には効果がありません。
つまり、被写体側が動いてしまう場合には被写体ぶれを起こします。
ですので、シャッター速度は速いに超したことはありません。
自分の経験上は、通常の限界値は1/30秒位と考えていて、それよりはシャッター速度が速くなるように撮影することにしています。
シャッター速度を速くするには
シャッター速度を速くするには、カメラの上のモードダイヤルをS(シャッター速度優先)あるいはP(プログラムオート)にすれば設定できますが、シャッター速度を上げると、F値(絞り値)とISO感度が大きくなります。
F値が大きくなると、ボケが小さくなって、平版な写真になりやすくなりますし、ISO感度が上がるとノイズが増えてザラッとした写真になります。
これを防ぐためには、モードダイヤルをA(絞り優先)にしてF値を一番小さい値に設定した上で、シャッター速度が1/30秒より速くなるように、被写体を明るくして撮影する必要があります。
被写体に照明を当てられれば望ましいですが、できない場合はフラッシュを使って下さい。
フラッシュは直接当ててしまうと、一部分だけ明るくなってしまいますので、天井や壁などに反射させて柔らかい光にするバウンス撮影しましょう。
そんなわけで、撮影する際には十分明るくして撮影することが大事です。
結論
結論としては、被写体を明るくして必要な設定をすれば、十分ぶれないで撮影が可能ということです。
高いカメラ、レンズを使った方がいいの?
一方、最初の素朴な疑問「高いカメラやレンズを使えば、こんな写真にならずにきっちり撮れるのか?」という問題です。
まず、カメラにも高価なものから比較的手頃なものまであることからわかるように、高価なカメラは高価な部品や素材を使っています。
高いカメラは、オートフォーカスの機構やピント位置の操作ボタン、さらに画像センサーの感度も高く、ダイナミックレンジという明るい部分と暗い部分の双方を撮影する能力も高くなっています。
ただし、AFの精度は確かに高いですが、結局、ピント位置は基本的には手動操作で合わせなければなりません。
また、画像センサーの感度も高いといっても入門機より1~2段(約2~4倍位?)高いのがせいぜいです。
ということで、操作が楽になっているのと、微妙な明るさの時でもそのまま撮ってもぶれないかなー位のアドバンテージと思って構いません。
逆に言えば、その差に支払う価格の差を感じるかどうかが判断基準になります。
個人的には、お金が出せるのであれば、いきなり上級機を買っても構いませんが、比較的安いカメラとレンズで練習して、その差を実感してから上級機に買い換える方がありがたみがわかるように思えます。
是非、撮影の練習をしてみて下さい。
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